人気ブログランキング |

 さて、「戦陣の断章」のつづきです。
昭和21年5月待望の復員。名古屋港には復員局の出張事務所があり、
建物の周辺には各主要都市の戦災状況が地図で表示されていました。
宇都宮市もありました。東半分は全滅、私の家のあたりは、なんとか無事らしいのですが、近くの野砲兵第20連隊あたりに焼夷弾が落とされた印がありました。
太田市爆撃の帰りに落としていったものだったようです。
 これを見た私は「これでは親達は、本籍のある広島の山奥に疎開しているな」と早合点し、大きな荷物を背負って広島へ向けて列車に乗りました。
広島に着くとどうでしょう。原爆の惨状を眼のあたりにして茫然としました。

「畜生!!」

 瓦礫の山。電車の架線は垂れ下がり、海の方まで見えるほどでした。 
駅の近くに親戚があるのを思い出し、まず復員の報告をすべく立ち寄りました。
幸い奇跡的に原爆は免れていました。
 訪れますと、喜んで歓待してくれ、一泊してから本籍の方を訪れました。
前置きが長くなりましたが
その夜、風呂へどうぞとなったのですが、下着を脱いで見るとどうでしょう。
褌の縫い目に沿って「虱」が行列しているではありませんか。
一応始末らしきものをして一泊。翌日その話はしそびれて、
北へ向けてバスに乗りました。どきどきでした。
久しぶりのバスですが約2時間余。シラミのことで頭はいっぱい。
今では叔父さんたちもこの世にいませんが、悪いことをした思いは今でも忘れられません。
戦場から復員したシラミの物語でした。

新!戦陣の断章   
by Switch-Blade | 2004-10-18 17:18 | 第三十一話~第四十話