2004年 10月 11日
「食料事情」
手榴弾を実際に投げた経験の持ち主は、そういないと思います。
先ず信管を靴の踵か銃のショウビハン(持つところ)に打ち付けます。すると発火して
シュルシュルと火が出ます。
手に持ったまま「イチ二サンシ」の間合いをとってから投擲します。
これだけでは、なんということはないと思うでしょうが、手に持っている時間を考えてください。
少しでも長く持ち過ぎると自爆に繋がります。
その恐怖心から早く投げすぎると敵に拾われて逆に投げ返されます。
なにしろ接近戦でしか使わないものですからね。
4秒間の間合いですぞ!
実戦で使われたことはあまり無かったのではないでしょうか。
われわれが体験したこと。
転進中に体力の限界を感じて手榴弾が自決(自爆)に使われました。
一列縦隊が次第に伸び、後ろの方で「ドカン」と音がすれば、皆自決の音でした。悲惨です。
それを押さえることは誰にも出来ません。
皆食うや食わずのフラフラした体力しかなかったからです。
南方の戦場はマラリアと飢えとの戦いといってよかったのです。
戦後、満州とか中国戦線に行った方の話を聞くと、
食べるものはなんでもあったとのこと。
腹が立ちましたね。
「飢餓」なんていう生易しい言葉では言い表わすことは出来ません。
人間の肉まで食べたという話には実感を感じます。
私も復員した当時はやせ細り、これからは「付録の人生」だと思ったぐらいですから。
それにしても83歳まで生きてこられたのには、
人間の考えでは計り知れないものが何かあるのでしょうね。
<食うや食わずに・・・現代人には理解出来ないことであろう。
現在、食料自給率30%代と言われる我が国ですらその事実を知らない方々が
多くいる事でしょう。必ず最低一食は食べる事が出来る今の時代。
実は自給率30%~40%、輸入に頼らざる負えない日本の食料事情というのを
理解してみては如何ですかな。by switch-blade>
新!戦陣の断章
by Switch-Blade
| 2004-10-11 05:25
| 戦陣の断章