「外伝」 第二十八話 昭和21年第一回総選挙

 昭和21年の第一回総選挙のときの話。
当時は未だ進駐軍がうろうろしている時代です。
私が復員後初めて県の出先機関である「河内地方事務所」に就職して、
間もなく総選挙がありました。
私の事務所は宇都宮市を中心として南北に長い「郡」で、
当時私が最年少(?)であったため一番北の豊岡村の監視役を仰せ付けられました。
日光市の手前で約9里あります。当時は日光街道も砂利道でした。
車もオートバイの免許もありません。ですから当然自転車です。
 
 初めて女性にも投票権が与えられた年でもあり選挙場は大賑わいでした。
私の任務は先ず各選挙場の様子を予め準備された設問用紙にしたっがて
記入することでした。(例えば会場に花が活けてあるとか)
時々進駐軍の兵隊さんがジープで乗り付けて「OK」などといって帰っていきます。
 「畜生めー」と思いましたね。 
投票時間が終わり、集計して投票状況を電話で本庁に報告し、
投票用紙は纏めて包装して自転車につけて夜中に本庁まで帰ります。
真夜中の日光街道を重要書類を持って帰るのですよ。真っ暗です。
時々通る車のライトの光を頼りにサツとペダルを踏み大忙しに走ります。

      砂利道がジャリジャリと静寂を破ります。

 その繰り返しをしながら又9里の道を帰るのです。
一歩間違えば重大事件に成りかねません。

こうして各候補者の投票用紙が届き、先に報告しておいた数字と符合させて
確定数字となったのです。
 
 今のように総てが完璧になっている時代と違い「選挙事務」はおお事だったのです。
今考えると笑い話になりますが、こういった多くの公務員が手分けで
奉仕した結果の当落だったのです。

 今、よく「役人」が「悪」の代表みたいにいわれますが、
下働きの苦労は一般に分かって貰えないのが淋しいですね。
 私がまだ現役の時も、よく県会議員に威張られましたが、腹の中では笑っていましたよ。
県議会の質問に何を質問したらよいかなどと聞きにくる「やから」もいるくらいです。
おツと・・元公務員もこういう秘密は漏らしてはいけないんだっけ・・。
名前は伏しておきましょう。   


 <戦後第一回総選挙の思い出を送ってくださった。
  今とは随分違って投票が終わり輸送は自転車なのだ!
  砂利道を約35キロほどであろうか、しかも真っ暗闇の中を!
  今ではありえない話である!!! by switch-blade>
  
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by switch-blade | 2004-10-03 02:42 | 第二十一話~第三十話 | Trackback | Comments(0)