2005年 09月 02日
「外伝」 第七十四話 「戦力のある部隊をすみやかにラバウルへ」
剛方参一第六九〇号、二月二十四日発電のこの作戦を「カ号作戦」という。
当時ラバウルには第十一航空艦隊と第二航空戦隊を合して、100機近い兵力があり、連日の空襲下に敢闘を続けていた。二月十七日、その移動可能の全兵力をすみやかに内洋方面に進出するよう命令されたので、主力は十八日から二十日の間に、残る若干もその後これに続いて逐次トラック、マリアナ方面に転進し、ここにラバウル周辺の航空戦況は一変することとなる。このことから航空べた居の転進に伴い、ラバウル周辺の制空、制海権は一挙に完全に連合軍側のものとなった。十九日~二十五日にかけて、陸海軍輸送船四隻が相次いで沈没した。これがラバウルに対する最後の輸送船であった。一月末ににグリーン島(ニューアイルランド島とブーゲンビル島の中間)に威力偵察を試みた後、二月十五日には再度同島に来攻してこれを占領し、飛行場の設定に着手。同時期二月上中旬の間、連合軍はラバウルに対して引き続き大規模な空襲を継続。ニューギニア方面ソロモン方面に対しても依然激しい航空攻撃を繰り返し、ブカ、アドミラルチーニューアイルランド、及びニューブリテン島北岸諸要地等ラバウルを囲む諸地域の来週も逐次増加していった。この時期、陸軍の第四航空軍の戦力増強を要請するため、航空軍参謀長秋山少将が上京。参謀本部で諸般の説明を行った結果、第十八軍のマダン付近の作戦に対しては第二方面軍指揮下の、戦闘、軽爆各二個戦隊、重爆一個戦隊が一時南東方面に進出してこれを支援することになったのだが、第四航空軍自体の戦力の造成については襲撃一個戦隊が、新鋭の軽爆一個戦隊と交代する件が決定されただけで特に大きな処置は実現しなかった。このような新情勢を迎えて、方面軍は再び爾後の第十七師団の用法について検討する段階になった。今や、ラバウル周辺の海上輸送は小舟艇を除いて全部途絶し、爾後の補給は駆逐艦、潜水艦は勿論、大発輸送さえも困難である、と考えなければならない事態であった。検討の結果、方面軍は第十七師団のラバウル後退を決定したのである。方面軍命令から抜粋した文だが、マーカス戦闘部隊に対して、再度御嘉賞の御言葉を拝せる小森支隊はあくまで現地に於いて必死敢闘武人の栄光を完うせしむる意図なりしも以上の情勢に即し全般指導上転進せしむることに決せりとある。(前後省略) 続く・・・
by Switch-Blade
※引用抜粋
・戦史叢書 南太平洋陸軍作戦1~5
・「戦陣の断章」 同著「マーカス岬の戦闘」
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| 2005-09-02 17:02
| 第七十一話~第八十話