「外伝」 第二十三話 会食

 私たちの戦場(第八方面軍管轄)で一番偉かった人が、
在ラバウルの第八方面軍司令官 陸軍大将 今村 均です。

 私の属する部隊はその末端部隊であり、
私が専属副官をやっていたのは第65旅団(夏兵団)の長 真野五郎中将の時です。
方面軍の下には下部組織として 師団 独立旅団 など沢山ありました。
東部ニューギニア ニューブリテン島 ブーゲンビル島 ガダルカナル島、
ほか沢山の島にわたってそれぞれの部隊が統治していました。
その総元締めが第八方面軍です。
その第八方面軍司令部はニューブリテン島のラバウル にあり
私の部隊も ニューブリテン島内にあり、方面軍の直轄になっていました。

 軍隊も一般会社や役所と同様人事異動があり、
戦死者が出れば当然その穴埋めが必要になります。
私が一時期 中将閣下の専属副官をやっていたのもほんの一時期のことでした。
「戦陣の断章」にも書きましたが、私たち夏兵団に今村大将が視察に来られた時、
兵団内将校による会食があり、その時初めて今村閣下にお会いしました。
下級将校にとってみれば大将というと雲の上の人ですからね。
しかし光栄でした。その時今村大将の威厳というものが感じられました。 

           <会食のメニュー>は? 

 会食といっても戦場で、しかも内地からの補給も侭ならなくなっている状況下です。
せいぜいタロ芋(サトイモに似ている)の煮たもの、カナカほうれん草のおひたし、
高野豆腐の煮付け、パパイヤの漬物ぐらいがオカズでした。
ご飯は偉い人にだけ出し、
われわれ下っ端はサツマイモ(沖縄100号)のふかしたものです。
今村閣下は立派な方ですし、状況はよくご存知でしたから
「皆も食料事情の悪い状況下でよく奮闘されており、ご苦労なことです」。
     と労ってくれました。
酒も椰子酒でした。閣下の前にお酌に行った時のことは私の本にも書きましたが、
手が震えましたね。南方戦線は中国戦線と違い、何もかも爆撃で吹っ飛ばされて
しかも内地からの補給も途絶えましたから、食料は貧困でした。幸い熱帯地方の故、
自然の植物が豊富にありました(実際はみな現地人の所有物なのですがね・・)。
兵隊さんの中には職業柄料理の上手な人もいて結構いろいろ工夫してご馳走を
作っていましたよ。ですから上記の会食の時も一級の腕を持った兵隊さんが、
一生懸命腕を振るったことでしょうね。
 

 
 <著者が今村閣下にお酌をしに行った時に今村閣下が著者に言った言葉がある。
  「戦陣の断章」に詳しく書かれているが、今村閣下の人柄が偲ばれる一言であった。
  緊張していた若い将校に対しての閣下の親心だったのではないだろうか?
  その言葉は
  「せんずりばかりしていては駄目だぞ(^^)」 である。
  
  その場の光景が想像出来てしまう、
  そんな事言われたら益々緊張してしまうのではないだろうか(^^)
  これを知った自分は益々今村将軍を好きになってしまった。
  
  戦後の部下を思う行動は、恐らく誰も真似の出来る事ではない。
  この事は、「外伝」の中でも紹介してきた。
  責任を取るということは、ただ辞めればいいのではないのである。
  そのことを皆がもう一度考える時期が、この国に来たのではないでしょうか?>
  
                                    by Switch-Blade  
  
  今村大将謹慎室 
  http://www.geocities.jp/kinsinsitu/
  
  
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by switch-blade | 2004-09-23 03:12 | 第二十一話~第三十話 | Trackback | Comments(0)