「外伝」第六十五話 ②

第一大隊本部 副官塚本少尉指揮の予備小隊約三十名は射撃を開始。
各部将校や伝令まで全員の火力が集中した。
擲弾筒分隊長が前進してくる戦車の正面に

どっかと座って背中に背負う背嚢を腹部に当て、
      擲弾筒を水平にして敵戦車めがけて発射。


勿論貫通はしないが、命中の衝撃に驚いた乗員は、戦車の天蓋を開けて脱出。
勢いを得た予備小隊は、第二の戦車に対しても同様の攻撃を加え侵入を阻止。

右第一線中隊正面も混戦のうちに米軍戦車が二台、
陣地後方の湿地帯に突っ込んで進退不能に陥った。
この戦車から乗員が脱出するのを見て、第二中隊が攻撃、戦車炎上。

午後三時頃米軍は各所でサイレンを鳴らし撤退を開始。
激しい弾幕でその撤退を援護していた。
小森少佐の十六日の日誌(既出)
「恐るべき砲撃、続いて敵の攻撃、激しい戦闘、戸伏大隊は善戦したが大きな損害を受けた。大隊本部と両第一線中隊との連絡がとれない。恐らく全滅したのだろう。敵は何ダースかの戦車を伴って執拗に攻撃してきた。大隊砲は敵迫撃砲で破壊され、海上からも砲撃してくる。砲火は夕刻まで激しかった。この分では支隊の任務遂行は困難になるかもしれない」

米軍公刊戦史には、後退の理由を次のように説明している。
「攻撃部隊は、日本軍の全陣地を蹂躙し、陣地設備を破壊して無数の自動火器と山砲一門を粉砕し1600頃予定の目標に達成した。」

十六日の激闘を終えた小森支隊長は、飛行場西側地区への後退を決意。
撤退は十六日夜、米軍の追撃を受ける事無く、計画通り完了。
飛行場西側の新陣地は北翼からの包囲に対して地形的に阻止しえない
弱点があったが、飛行場確保という任務上ここで玉砕するまで
戦う決意を固めていた。


※参考文献 引用
・戦史叢書 南太平洋陸軍作戦1~5
・「戦陣の断章」及同著「マーカス岬の戦闘」(小冊子)
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by Switch-Blade | 2005-05-25 17:13 | 第六十一話~第七十話 | Trackback | Comments(0)