「外伝」 第五十話「連合軍マーカス来攻」

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 十八年八月、南太平洋の戦局は悪化の一途をたどっていたが、八月末大本営において遂にラエ、サラモア放棄の方針が決定。この旨陸海軍中央協定が第八方面軍に示された。間もなく九月四日に連合軍はラエ東方ポポイ付近に新たな上陸を敢行!ナザブに空挺隊を投入、第五十一師団は転進やむなき状況に立ち至った。

この情勢を迎え連合軍の次期目標である事が明瞭な、ダンピール海峡東岸に位置するニューブリテン島西部要域の防衛はいよいよ方面軍にとって重要となったのである。

 第六十五旅団を主力とする現配備では兵力の不足が痛感されるところから、急遽増強の要ありと考えられた。しかし中部ソロモン方面の戦況上必要とされるブーゲンビル島への増強兵力にも苦慮しており全体として派遣すべき兵力の余裕は無かった。連合軍の空襲が激化する中フィンシ方面への輸送も依然として継続しなければならない西部ニューブリテンへの増強は困難であった。
そこで方面軍は第六十五旅団長が欠員となっていた事情を考慮、当時ラバウルにあった第四船舶団司令部をツルブに推進、団長松田巌少将に(28期)同方面所在の船舶部隊、第十八軍所属の滞留部隊を含む全軍部隊の統一指揮を命じ、これら兵力の組織化によって輸送業務推進と併せて防衛体制の強化を図った。

 連合軍作戦計画の決定
 当時の計画は、ラバウル占領を最終目標とし、ラバウル攻略を可能にするための作戦のひとつの段階として西部ニューブリテン島攻略を計画。作戦は米第六軍司令官クリューガー将軍が指揮するニューブリテン軍(秘匿名称 アラモ軍、又はエスカレーター軍)が実施する事となり、五月六日同司令官に、渡洋作戦と空挺作戦とを併用し、ガスマタ―タラセアの線以西のニューブリテン島を占領し、爾後のラバウルに対する作戦のための陸上航空基地を建設という趣旨の準備命令が与えられた。
第一海兵師団司令部と連携し計画の具体化を図っていたが、七月中旬に「アルファ計画」(叢書記載はマーファ計画)と称する大綱計画が発表される。続いて八月下旬「第二次アルファ計画」が発表され計画は「アラモ軍はグロスター地区を占領し、ガスマタを無力化、タラセア、ガスマタ以西ビッツ諸島及びロング島を含む西部ニューブリテン島を占領」とある。攻撃期日は当初計画と同様十一月十五日とされたが、二週間後には「十二月一日」と変更された。
 この方面の戦略的要衝であるラバウルを連合軍は攻略しないという重大決定が八月にケベック会議で正式に承認されていたが、西部ニューブリテン島に対する作戦目的もラバウルの無力化と爾後のアドミラルチー諸島あるいはニューギニア方面への振興準備のための基地獲得というふうに変化はしていたのだが計画自体にはさしあたり大きな変更は加えられなかった。九月二十二日南西太平洋方面総司令部が発した本作戦に関する指令は、従来の構想を躊躇するものであったが、無いように付いては「第二次アルファ計画」と大差の無いものであった。
その後本計画は大きな変化が加えられた。これは第五空軍のケニー中将がガスマタ付近の飛行場は不要であるとの事と、同空軍に対する長距離戦闘機の補充の遅れ、ガスマタ作戦には十分な航空支援が出来ないという意見を発表。(ガスマタの日本軍が米軍の攻撃を予期して、防備を増強中であることが判明していた。)十一月十日、ガスマタ作戦を取りやめる指令が出され、ガスマタに変わる目標として、マーカスを占領することが決まったのである。


※参考文献 引用 
・戦史叢書 南太平洋陸軍作戦4
・「戦陣の断章」(出版物)ならびに同著者作成小冊子「マーカス岬の戦闘」

 
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by Switch-Blade | 2005-03-01 21:51 | 第四十一話~第五十話 | Trackback | Comments(0)