「外伝」 第三十八話 「輸送船」

昭和17年12月27日に駆逐艦や巡洋艦に守られたわれわれ輸送船団6隻が、
宇品港を発ち、豊後水道を通り、一路南へと進んだ。暫くの間は周囲に小島が続く。
服装からして南方の戦場に行くことは間違いない。 

何日かして回りに島が全く見えなくなる。

敵潜水艦や飛行機の目を避ける為、じぐざく航路をとる。 左に方向転換をする。
するとどうでしょう。今まで右にいた艦が、ずっと後ろになる。今度は右に転換をすると、
こんどは右の艦がずっと前になる。
つまり、回りに比較するものが無いことによる錯覚である。
分かるかな?分からなければ楊枝などでやってみるとこの理屈がわかると思う。

     1月14日にラバウル港に着いた。

           19日かかった。

          何回か魚雷の航跡にあったが、無事だった。
 

そして、戦後昭和21年5月2日、復員である
今度は、アメリカさんから借りたリバティーV0006号。まさか早い。 名古屋港に着いたのが5月16日で、
15日間かかった。行く時とそれ程の違いが無いのに驚いた。
 
 行きも帰りも「硫黄島」が見えるところを通った。

帰りに見た「硫黄島」は禿げた姿であった。戦後の記録で、

        激しい攻防戦だったことを知り、

          納得した

     お互い血肉を分けた血みどろの戦だったのだ。
 
輸送船の長く暑い生活も忘れがたい。ましてや行く時は、船首で対潜、対空見張りの任務もあり

生きた心地が無かったのは言うまでも無い。船に弱かった者には、一層辛かったことと思う。
 
   
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by switch-blade | 2004-12-02 21:56 | 第三十一話~第四十話 | Trackback | Comments(0)